「このままでいいの!?鈑金屋さん!!」~車体整備士と業界の未来~特定整備認証への対応と適正な対価確保の重要性を訴える

 通常総会終了後、日車協連教育委員長・東京都自動車車体整備協同組合副理事長の斎藤和美氏を講師にお迎えし、車体整備業界が直面する課題と今後の方向性についての講演が行われた。

 斎藤氏は、自身の経験を交えながら、特定整備認証制度への対応や、車体整備事業者が果たすべき役割について解説した。

 まず特定整備認証については、「取得することがゴールではなく、その後の適切な運用が重要である」と強調。認証取得に必要な要件は決して高いハードルではなく、設備や書類を整えれば取得可能であることを説明した。一方で、認証取得後は車体整備記録簿や特定整備記録簿を適切に作成・保管し、作業内容を可視化することが求められるとした。

 また、先進安全自動車(ASV)の普及に伴い、ガラス交換やエーミング作業など電子制御装置整備に関わる業務が増加していることに触れ、外注作業を行う場合でも元請事業者が責任を持って記録を管理することの重要性を説明した。さらに、委託業務契約の締結など、法令に基づいた運用の必要性についても解説した。

 講演では、国土交通省が策定した車体整備ガイドラインや指針についても紹介され、「適正な対価を得るためには根拠のある見積りと説明責任が不可欠である」と指摘した。レバレートや工数、材料費などについて、自社の実態に基づく根拠を持ち、適正な請求を行うことが重要であるとした。

 近年は塗料や副資材などの価格が大幅に上昇しており、事業者の負担が増していることから、適正な価格転嫁の必要性についても言及。「人材確保や育成のためには、適正な利益を確保し、給与や休日など労働環境の改善につなげていかなければならない」と述べた。

 さらに、車両保管料や部品保管料、情報管理料、汚染防止費用など、実際に発生している作業や管理コストについても、根拠を示したうえで適切に請求していくことが重要であると説明した。

 最後に、「車体整備業界の未来を守るためには、品質の高い修理を行うだけでなく、その価値を正しく伝え、適正な対価を得ることが必要である」と呼びかけた。参加者は、業界を取り巻く環境の変化や今後の経営のあり方について理解を深める機会となった。